「 ホントに来るとは、おもわなかった! 」
そう言って、両手でいきなり、こちらの手を鷲掴みした。
それが、オレとToyToy氏との出会いである。
彼と知ったのは、Facebook。
頻繁に投稿しあう仲となったが、
それはあくまでもネットでの付き合い。
住居が近いことは、わかっていたのだが、
ネットの付き合いが、リアルの接近にいたるというのは、意外と少ない。
「ミュージシャン仲間の集まりがあるので、来てみないか?」
その誘いに乗ったわけだ。
ヒョイと訪ねてしまうオレもオレだが、
誘っておきながら、「来るとはおもわなかった」と言うヤツもないだろう。
そう口にしつつも、身体から発散してくる歓迎オーラが、とてもうれしかった。
その日は、大いに笑った。 音楽の話 ビジネスの話 アイヌの紋様の話 オレのマヌケな話。 ToyToy氏をはじめとして、初対面の人ばかりだが、楽しかった。 10年ぶりくらいのバカ笑いの中、オレってこんなに笑える人間だったのかと、自分に驚いた。 その家に集まった人々は、みな、芸術肌の人ばかり。ギターを弾く人。絵を描く人。 さまざまだが、なぜか調和が取れている。 その全体の雰囲気を作っているのが、トイトイという人。アイヌミュージシャンであり、デザイナーである。 よくしゃべるわけではないのだが、 彼の言葉・存在は、要所を抑える。 ”空気を生む人間”といえばわかるだろうか。
誰かの言葉に触発されるのか、ときどきトンコリを奏で、歌い出す。 笑顔のときもあれば、眉間に深いシワができるときもある。哀しい顔のときの目線は、遥か彼方をみつめているようだ。 紡ぎだされる言葉には、アイヌ語や沖縄の方言が混じる。 集まった中には頷いてつ人もいるが、オレにはサッパリ。
アイヌには、哀しい歴史がある。
倭人とは幾度か戦をしている。
江戸時代からつい親の世代まで続いた、とても長かった差別は、いまなお心根が深い。
そのアイヌの彼から湧き出るデザインや音楽は、常に、複雑な層を成す。
アイヌ文様というのは、外に備えて内を護るものと認識している。封印をイメージさせるデザイン達は、余所者を寄せ付けない気高さを持ついっぽう、奥に秘めた心を解放させたいと願っているようにもみえる。
「俺、いつでも本気だから!」
ToyToy氏は、そう言う。
太陽や木漏れ日、
木の根っこ、
水たまりの乱反射、
落ち葉の上に落ちていた缶ビール。
そうした、ありふれたモノと自己との対話をつづけて止まない。
そうして、ToyToyのデザインは、日々深みを増していく。
タペストリー:「壁掛け」に相当するアイヌ語は、見当たらないが、 Eokokte(掛)Ki-tumam(壁)という組み合わせはいかがだろうか。 アイヌ文様は、モレウ・アイウシ・シクから成り立っている。 このタペストリーデザインは内在するシクとアイウシの崩し方が見事。 |
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