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画像 アイヌ音楽とToyToyミュージック

「音楽とは何か?」という問いに答えられる人は、あまりいないだろう。 リズムだろうか、メロディだろうか。楽器がなければいけないのだろうか。 「楽」の字が入っているから、楽しくないといけないのだろうか。定義するのは難しいようだ。 ヨーロッパの概念では、音楽はムーシカと呼ばれて構造化されている。 (MUSIC)宇宙のムーシカ(MUSIC)・人間のムーシカ・楽器のムーシカと、3つに分けられているのだ。

宇宙までかかわるという、恐れ多く深いモノなのだが、我々が恩恵にあずかっているのは 「楽器のムーシカ」ということになろう。この場合の楽器には「人の声」も含まれているようだ。

中世から現代へ世界がうつろう中、音楽の概念もずいぶん整理されてきた。楽譜があって再現性があり、ステージでの演奏に耐えられるものが、今の音楽といっていいだろう。演奏人数の大小やプロアマは問わないし上手い下手も除外する。いっぽう、そういう定義から微妙にずれている音楽として、「ワールドミュージック」という分野がある。これは、世界の片隅で発達し、伝統的に伝えられてきた音楽を指すようだ。「民族音楽」「文芸」と言い換えることもできる。

ワールドミュージックが、世界を席巻した例も数多い。レゲエ (reggae)は、ジャマイカの特有の音楽だったが、あっと言う間に世界中に広まっていった。先進国でレゲエを知らない人は、まずいないだろう。

アイヌ音楽といえばウポポ

アイヌ文化にも伝統的な音楽がある。その代表といえるのが ウポポ 。「歌」を意味するのだが「座り歌」と訳されることもある。一種の輪唱の形式をしていて、成句一つだけで歌われていることが多い。即興性が高いのが特徴だ。

 イウタウポポ(杵歌)
  穀物を臼に入れて数人で杵搗きし、製粉、精白する際に唄われる
 リムセウポポ
  踊りながら輪になって歌う。舟漕ぎ歌のような労働歌もある
  輪になるということで、イメージはマイムマイムのようなダンス(かなり違うが)  ロック・ウポポ
  数人でシントコの蓋を囲み、手で叩いて拍子をとる輪唱。

ウポポには、トンコリや太鼓などの楽器も使われる。楽器がないときには、誰かが合いの手や手拍子などを返しててリズムをとる。そうした習慣もあって、「ウコウクウポポ(互いに取る歌)」という呼び方もある。

画像 ウポポ リムセ

■ 音楽はほかにも

・ユカラ(カムイユカラ)
屋内で語られる物語のこと。叙事詩と訳されることが多い。話者は、レプニという棒で囲炉裏の縁を軽く叩いてリズムを取りつつ語っていく。ほとんどの場合、ユカラの主人公は、ポンヤウンペという英雄的少年。一人称視点で語られる。

・イヨンルイカ/イフンケ(子守唄)
即興性が高く、そのときの気持ちをそのまま歌うことが多い。「オッホルルルルルル...」と巻き舌発音で赤子をあやすだけのこともある。この「子守唄」は呼び名が各地で異なる。日高アイヌではイヨンノッカや、イヨンルイカ。旭川アイヌや十勝アイヌはイフンケと呼ばれる。ちなみに、二風谷あたりでの「イフンケ」には、人を呪うという意味がある。このあたりは、ややこしい。

・リムセ(舞曲)
舞曲。歌を交えた踊りのこと。式典の種類に応じて踊ることが決められたものもあれば、約束事がなく人が集まればいつでも踊られうるものもある。もともとの意味は「ドシンという音をたてる」ということ。悪魔払いの行進がその元になっていると考えられている。

・ヤイサマ(即興歌)
「ヤイ=自分、サマ=側」が語源。自己紹介や現在の自分の気持ちなどを即興で歌にした。若い男たちは愛の告白として女性に対してヤイサマを歌ったという。自分のことを即興で歌うところは、ラップにのフリースタイルに通ずるか?

■ 伝承文芸をMUSICへと昇華

アイヌ音楽の歌と踊りは、まさにワールドミュージックに位置づけしていいだろう。倭人の各村に伝わっている、民謡や踊りと根は一緒と感じる。ウポポやリムセは、同属の間や文芸館、式典などで行われるものであり、保護されるべき伝統文芸といえる。しかし、アイヌ音楽を、文芸に留まらず、MUSICのレベルに押し上げようとしている人々がいる。とくに活発な一人がToyToy氏なのだ。


ムックリを鳴らす ToyToy

ムックリ。日本語では「口琴」、英語では「ジューズハープ」と訳される。 カニムックリと呼ばれる、金属製のムックリがあるが、竹製が一般的。 竹と糸で成り立ち、糸をひっぱると弁が振動して「ビョーンビョーン」という音が鳴る。 口の形、舌の動作、呼吸などによって、変幻自在に変化させることが可能


トンコリを弾き歌う ToyToy

トンコリは、木をくりぬいた胴に薄い板を張り、弦を駒に渡した構造。 弦の数が5本のものが多いところから「五弦琴」とも呼ばれるが、3本や6本弦のトンコリもあった。 女性の体に準えている楽器なので、持ち主以外の人がむやみに触るのことは遠慮したい。

■ 伝統音楽をもっとメジャーに!

トンコリのメロディはシンプルだ。同じ旋律を繰り返して、その味わいを楽しむ。 今の、ガンガン奏でるポップに慣れた耳には、少々物足りないと感じるかもしれない。 でもそれは最初だけだ。 水の流れ、木漏れ日、髪を揺らす風、音の中に、そんな風物を感じとってほしい。

アルバム:

音楽CD:

ToyToyのトンコリ音楽アルバム。 消え入りそうな静かなメロディは、瞑想やリラックスに最適。 雑踏や騒音を、いっとき忘れさせてくれる。全9曲。 oki dub ainu band だけがアイヌミュージシャンではない。
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